時に前向き
時に後ろ向き
そんな日々の繰り返し
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てりこさん主催のお題バトルに参加させて頂きました。
ええ・・・・・・時間内に書き終わりませんでしたけど(涙)
しかし、参加したみなさんの素敵な作品を読ませて頂いて眼福でした。
また、機会があれば、ぜひとも今度は時間内に完成させたい、リベンジしたいものです。
書き上げた作品は↓にあります。
*********************************
タイトル「月」
あたしは「月」という自分の名前が嫌いだ。由来は何でもあたしが生まれた日の晩の月が本当に綺麗な満月だったかららしいけど、月の輝きは太陽の光を反射したものであって、単独じゃ輝けない。それに、地球の衛星、つまりおまけに過ぎない。そんな他力本願かつおまけの天体と同じ名前をつけられた子どもの気持ちなんて、あたしの両親は考えもしなかったんだろう。
「月って、太陽がなけりゃ輝けないんだね」
「ってか、おまけだよね、地球の」
小学校の頃、天体についての授業があった。担任はあたしたちにそれぞれの天体についてちゃんと理解して欲しいと思ったらしく、分かりやすく一生懸命に説明してくれた。だが、それがいけなかった。授業後、あたしに待っていたのは、男子の他愛もないからかいだった。
「月は自分じゃ輝けね~んだ! 」
「月はおまけ~! 」
確かに天体としての「月」はそんな存在かもしれない。だけど、人間の「月」、つまりあたしはそんな存在じゃないと今なら言える。だけど、あの頃のあたしはそれが言えずに、ただ黙り込んでるだけだった。そんな時、あたしの代わりに毅然と反論してくれた男子が一人だけいた。それが陽だった。皮肉なものだ、何も言えない「月」を、一文字足りないけれど「太陽」が助けたのだから。だが、それも悪ガキたちには恰好のからかいのネタにしかならない。悪ガキたちから「陽は月が好きなんだ、夫婦だ、夫婦だ」と騒がれたのは一時のことだったのが唯一の救いだった。ただ、陽はクラスの女子連中に人気が結構あったから、影でこっそりちくちくとセコい嫌がらせを受けた。それで、女子と連むのにうんざりしたあたしは、一匹狼になることにした。だが、それと時を同じくして、あたしと陽は学校の行事などで、某ファーストフード店のメニューのごとく、何故だがセットにされることが多くなった。一匹狼のあたしと、誰からも愛される人なつっこさのある陽の組み合わせ。あたしは一人の方が気が楽だというのに、陽は全くそれを理解していないのか、必ず声をかけてきた。それが本気で鬱陶しかった。あたしと陽のセット、それが歴代担任たちの陰謀だったのだろうと今では分かる。いや、まぁ、あの頃からいじめとかの問題はあちこちで起こってたから、担任としてクラスでぽつんと孤立してる児童がいると心配する気持ちは理解できる。だけど、それがその子のスタンスって可能性をなぜ疑わないのだろうと思う。
「今日から中学生かぁ・・・・・・自由っていいわねぇ」
悪ガキや陰険な女子たちと一緒の中学校に行くことが嫌で、あたしは中学受験をした。それなり勉強したおかげで無事に合格した上、進学クラスに配属された。基礎クラスならともかく、進学クラスともなれば、他人に気を配る余裕のある人間なんて、特に陽のようなお節介人間なんて、そうそういないだろう。これからは気兼ねなく、一匹狼を気取ってられる、万歳とあたしは思っていた。だが、あたしに望んだ自由は訪れなかった。そう、校門に入った所で、肩を叩かれたのだ・・・・・・卒業式でおさらばしたはずの、お節介人間と。あたしはその時、初めて、神様を恨んだ。
「よぉ、これからもよろしくな」
つまり、陽もあたしと同じ学校を受けて合格し、しかも同じ進学クラスに配属されたのだ。その時に、神様をかなり呪ったり恨んだりした報いなのか、結局、現在大学生のあたしは陽と小学校からずっと学校が一緒の腐れ縁になってしまった。しかも同じ学科。もう、呪いだ。勿論、今ではあたしは「悪いけど、ウザい」と意思表示するようになった。しかし、それでも陽はいらないお節介を焼く。あたしからどんなに悪態をつかれようと、冷たくあしらわれようと、それは変わらない。
「なぁ、お前、またトマト残してる。トマトは美容にいいんだぜ」
今日も大学の学食でサラダのトマトを残したあたしに、まるで母親のような口調で陽は言う。しかも、入学して以来、ご丁寧に頼みもしないのに、毎日一緒に昼食を取っている。あたしは半分無視しているのだが、周囲にはそう見えないらしい。その証拠に、同級生には陽とあたしの関係は「彼氏彼女」と勘違いされている。だが、それを否定して、これまでの陽との腐れ縁を延々と説明するのも面倒だから、卒業まで放置するつもりだ。
「放っておいてよ、トマト、嫌いなんだから」
「お前なぁ、トマトのリコピンってのはなぁ・・・・・・」
陽のお節介に伴う説教と解説は聞き流すことにしている。あたしは来るべき就活シーズンに思いを馳せ、卒業後の4月に新社会人としてデビューする自分の姿をイメージ、できない。代わりに何故かウェディングドレスを着てる自分が・・・・・・いや、何でそこに隣にタキシード姿の陽がいるんだろう。自分のお馬鹿なイメージにあたしはぶんぶん頭を振った。すると、陽があたしの残したトマトを食べながら、ぼそりと言った。
「・・・・・・結婚したら、食えるようになれよ」
「は? 」
陽の言葉とさっきの自分のイメージが化学反応して、あたしは不覚にも真っ赤になった。そんなあたしに止めを刺すように、陽がさらりと言った。
「俺、トマト好きだから。結婚したら、毎日、トマト食いたいんだ」
太陽と月がセットであるように、どうやらあたしと陽の腐れ縁は棺桶に入るまで続くことが確定、しそうだ。
○は使用お題。
※は天野が出したお題です。
○「輝き」
「寒い」
「グラス」
「時計」
○「月」
「煙」
○「トマト」
※「すれ違い
ええ・・・・・・時間内に書き終わりませんでしたけど(涙)
しかし、参加したみなさんの素敵な作品を読ませて頂いて眼福でした。
また、機会があれば、ぜひとも今度は時間内に完成させたい、リベンジしたいものです。
書き上げた作品は↓にあります。
*********************************
タイトル「月」
あたしは「月」という自分の名前が嫌いだ。由来は何でもあたしが生まれた日の晩の月が本当に綺麗な満月だったかららしいけど、月の輝きは太陽の光を反射したものであって、単独じゃ輝けない。それに、地球の衛星、つまりおまけに過ぎない。そんな他力本願かつおまけの天体と同じ名前をつけられた子どもの気持ちなんて、あたしの両親は考えもしなかったんだろう。
「月って、太陽がなけりゃ輝けないんだね」
「ってか、おまけだよね、地球の」
小学校の頃、天体についての授業があった。担任はあたしたちにそれぞれの天体についてちゃんと理解して欲しいと思ったらしく、分かりやすく一生懸命に説明してくれた。だが、それがいけなかった。授業後、あたしに待っていたのは、男子の他愛もないからかいだった。
「月は自分じゃ輝けね~んだ! 」
「月はおまけ~! 」
確かに天体としての「月」はそんな存在かもしれない。だけど、人間の「月」、つまりあたしはそんな存在じゃないと今なら言える。だけど、あの頃のあたしはそれが言えずに、ただ黙り込んでるだけだった。そんな時、あたしの代わりに毅然と反論してくれた男子が一人だけいた。それが陽だった。皮肉なものだ、何も言えない「月」を、一文字足りないけれど「太陽」が助けたのだから。だが、それも悪ガキたちには恰好のからかいのネタにしかならない。悪ガキたちから「陽は月が好きなんだ、夫婦だ、夫婦だ」と騒がれたのは一時のことだったのが唯一の救いだった。ただ、陽はクラスの女子連中に人気が結構あったから、影でこっそりちくちくとセコい嫌がらせを受けた。それで、女子と連むのにうんざりしたあたしは、一匹狼になることにした。だが、それと時を同じくして、あたしと陽は学校の行事などで、某ファーストフード店のメニューのごとく、何故だがセットにされることが多くなった。一匹狼のあたしと、誰からも愛される人なつっこさのある陽の組み合わせ。あたしは一人の方が気が楽だというのに、陽は全くそれを理解していないのか、必ず声をかけてきた。それが本気で鬱陶しかった。あたしと陽のセット、それが歴代担任たちの陰謀だったのだろうと今では分かる。いや、まぁ、あの頃からいじめとかの問題はあちこちで起こってたから、担任としてクラスでぽつんと孤立してる児童がいると心配する気持ちは理解できる。だけど、それがその子のスタンスって可能性をなぜ疑わないのだろうと思う。
「今日から中学生かぁ・・・・・・自由っていいわねぇ」
悪ガキや陰険な女子たちと一緒の中学校に行くことが嫌で、あたしは中学受験をした。それなり勉強したおかげで無事に合格した上、進学クラスに配属された。基礎クラスならともかく、進学クラスともなれば、他人に気を配る余裕のある人間なんて、特に陽のようなお節介人間なんて、そうそういないだろう。これからは気兼ねなく、一匹狼を気取ってられる、万歳とあたしは思っていた。だが、あたしに望んだ自由は訪れなかった。そう、校門に入った所で、肩を叩かれたのだ・・・・・・卒業式でおさらばしたはずの、お節介人間と。あたしはその時、初めて、神様を恨んだ。
「よぉ、これからもよろしくな」
つまり、陽もあたしと同じ学校を受けて合格し、しかも同じ進学クラスに配属されたのだ。その時に、神様をかなり呪ったり恨んだりした報いなのか、結局、現在大学生のあたしは陽と小学校からずっと学校が一緒の腐れ縁になってしまった。しかも同じ学科。もう、呪いだ。勿論、今ではあたしは「悪いけど、ウザい」と意思表示するようになった。しかし、それでも陽はいらないお節介を焼く。あたしからどんなに悪態をつかれようと、冷たくあしらわれようと、それは変わらない。
「なぁ、お前、またトマト残してる。トマトは美容にいいんだぜ」
今日も大学の学食でサラダのトマトを残したあたしに、まるで母親のような口調で陽は言う。しかも、入学して以来、ご丁寧に頼みもしないのに、毎日一緒に昼食を取っている。あたしは半分無視しているのだが、周囲にはそう見えないらしい。その証拠に、同級生には陽とあたしの関係は「彼氏彼女」と勘違いされている。だが、それを否定して、これまでの陽との腐れ縁を延々と説明するのも面倒だから、卒業まで放置するつもりだ。
「放っておいてよ、トマト、嫌いなんだから」
「お前なぁ、トマトのリコピンってのはなぁ・・・・・・」
陽のお節介に伴う説教と解説は聞き流すことにしている。あたしは来るべき就活シーズンに思いを馳せ、卒業後の4月に新社会人としてデビューする自分の姿をイメージ、できない。代わりに何故かウェディングドレスを着てる自分が・・・・・・いや、何でそこに隣にタキシード姿の陽がいるんだろう。自分のお馬鹿なイメージにあたしはぶんぶん頭を振った。すると、陽があたしの残したトマトを食べながら、ぼそりと言った。
「・・・・・・結婚したら、食えるようになれよ」
「は? 」
陽の言葉とさっきの自分のイメージが化学反応して、あたしは不覚にも真っ赤になった。そんなあたしに止めを刺すように、陽がさらりと言った。
「俺、トマト好きだから。結婚したら、毎日、トマト食いたいんだ」
太陽と月がセットであるように、どうやらあたしと陽の腐れ縁は棺桶に入るまで続くことが確定、しそうだ。
○は使用お題。
※は天野が出したお題です。
○「輝き」
「寒い」
「グラス」
「時計」
○「月」
「煙」
○「トマト」
※「すれ違い
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